千葉県の地域団体商標の登録状況

地域団体商標とは?

 

地域団体商標は、いわゆる地域ブランドを保護するための商標登録制度の一種です。

商標登録は、特許庁に商標を登録して、その登録した商標を独占的に使用することができるようになる制度です。
商標登録が認められるためには、様々な要件をクリアして特許庁の審査に通る必要があります。
商標登録のための要件の1つに、平たく言いますと、「一般的な名称は商標登録を認められない」というものがあります。
例えば、「佐倉大根」という商標で考えてみます。「佐倉」は、千葉県の佐倉市のことですので地名です。「大根」は、言うまでもありませんが野菜の普通名称です。そのため、「佐倉大根」という商標は、千葉県佐倉市で収穫された大根であることを示す一般的な名称と考えられますので、「佐倉大根」という商標を「大根」という商品の分野で商標登録をすることは、原則として認められません。

しかし、地域ブランドは、「地域の名称+商品・サービスの普通名称」という商標が多いものです。
有名どころでは、「草加せんべい」、「伊香保温泉」、「輪島塗」、「静岡茶」、「松阪牛」等々です。

こうした「地域の名称+商品・サービスの普通名称」という商標(地域ブランド)は、上述の通り、一般的な名称という理由で、従来は原則として商標登録が認められませんでした。

そのため、「地域の名称+商品・サービスの普通名称」は、自由に使うことができましたので、関係の無い地域外の事業者が地域ブランドを名乗ったり、品質が劣悪な商品・サービスに地域ブランドが使われてしまうという弊害がありました。
地域ブランドは、本来、地域を活性化するための重要な資産なのですが、このような弊害が横行すると、地域ブランドのブランド価値が低下してしまい、地域活性に貢献できなくなってしまいます。

そこで、2006年4月から、「地域の名称+商品・サービスの普通名称」を地域団体商標として商標登録を認める地域団体商標の制度ができたのです。

もっとも、地域ブランドは、一個人や一企業が独占使用すべきものではありません。そのため、地域団体商標を商標登録できるのは、農業協同組合や漁業協同組合などの組合、商工会議所・商工会、NPO法人などに限られ、会員に地域団体商標を使わせてあげないといけないことになっています。
また、「地域の名称+商品・サービスの普通名称」という商標は、本来、商標登録が認められないものですので、ある程度有名になっている地域ブランドでないと地域団体商標として商標登録は認められません。

 

千葉県の地域団体商標の登録状況

 

前置きが長くなりましたが、次に、千葉県の地域団体商標の登録状況をご紹介します。
以下は、2021年3月11日時点の情報です。

 

商標登録第5029823号 房州びわ
商標登録第5040365号 八街産落花生
商標登録第5066922号 市川のなし
商標登録第5066923号 市川の梨
商標登録第5069140号 富里スイカ
商標登録第5096123号 矢切ねぎ
商標登録第5160128号 小湊温泉
商標登録第5329454号 安房菜の花
商標登録第5551869号 船橋にんじん
商標登録第5573587号 銚子つりきんめ
商標登録第5663492号 しろいの梨
商標登録第5703819号 勝浦タンタンメン
商標登録第5717347号 船橋のなし
商標登録第5773790号 鴨川温泉
商標登録第5943150号 習志野ソーセージ
商標登録第6081834号 多古米
商標登録第6315569号 まつどの梨

 

上のように、現在、17件の千葉県内の地域団体商標が商標登録されています。
「房州びわ」や「八街産落花生」のように相当有名なものもあれば、正直、私が知らなかった地域ブランドも地域団体商標として商標登録されています。
地域団体商標のご説明のところで、地域団体商標として商標登録が認められるためには、その地域ブランドがある程度有名になっていけないと述べましたが、千葉県内の地域ブランドでも、まだまだ地域団体商標として商標登録できるものがあるのではないかと思います。
街おこし、地域経済活性のため、どんどんチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

ちなみに、全体の地域団体商標の登録件数は699件(件数は少ないのですが外国からの地域団体商標の登録も含んでいます)です。
最も件数が多いのは、京都府で68件です。

 

2021年03月11日